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太田穣(OTA Minoru)です。フリーランスのライター、エディターです。

早稲田大学法学部に劣等生として在学中よりライターとしての仕事を始めました。若者雑誌を中心にさまざまなメディアで原稿を書いたり、編集をしたり。
21世紀に入ってからは書籍中心の仕事になりましたが、それでも、やっぱり雑誌の面白さが忘れられません。
テレビ番組から派生した書籍でミリオンセラーも経験しましたが、成功の原因がすべて番組の視聴率に帰せられがちな中、版元の方たちが編集における貢献を大きく評価してくれたのは嬉しかったですね。どんなに視聴率のよい番組でも、「よい本」を「よいタイミング」で作らないと予想以上には売れないものなのです。

DTPにはMacCXとQuarkXPressのバージョン1のころから取り組んでいました。WEBも専門のデザイナーがまだいない時代に、しかたなく学生と二人でHTMLを書いて某レコード会社のサイトを作りあげたこともあります。このWEBサイトも私自身がコードを書いて作りました。HTML5やCSSを勉強しながらWEBをつくるのは、とても楽しいものです。

編集者・ライターが自らInDesignやIllustrator、Photoshopなどを使い、DTPを行うことには大きな意味があります。デジタルデータ上で書籍を編んでいくことは、情報や感情の物質化のプロセスを経験することであり、それはワクワクすることでもあります。また、すべてを一人で行うことで、編集意図が純潔に貫徹されます。効率もよく、スピーディーな入稿が可能です。
InDesign上で原稿を書きながら文字を組み、PhotoshopやIllustratorで図版を作って貼り込み、即座にキャプションを入れていくという“ソロ”スタイルになったのは、日本テレビの仕事がメインになったころでした。テレビ番組から派生した書籍は、書店に並ぶタイミングが重要です。番組が終わってしまってからでは本が売れないからです。番組内で書籍の宣伝をしたその日に、書店に並んでいないといけないのです。そのためには、たいへんリスキーですが、校了日に書籍の半分を入稿するなどということもあります。そんなとき、編集、ライター、デザイナー(もしくはDTPオペレーター)らが分業していたのでは間に合わないのです。一人で行う必要があるのですね。

私が編集者として関わった書籍はほぼすべて、DTPも私自身が行っています。装丁は信頼できるデザイナーの方々にお願いをしていますが、時には予算上の都合から私自身が装丁を行うこともあります。そんな時は、才能あるデザイナーたちの独創性をうらやましく思います。言いかえれば、才能あるデザイナーの方と仕事をすることは、とてもスリリングで楽しいものだということです。なお、DTPのみの仕事も承りますよ。

「ご専門はなんですか?」と、ときどき聞かれます。「格別、ございません」と答えます。実際、私には専門と呼べるような領域はありません。業界の友人たちを見ていると、多くが専門の領域での第一人者となり、自身の夢を叶えています。だけれども、負け惜しみを言わせてもらうなら、オールラウンダーだからこそできることもたくさんあります。2018年の今、たとえば午前に某大手モバイル通信キャリアのサイトのIT用語解説記事を書き、午後には学術論文誌に掲載する複雑な化学式を含んだ図版をIllustratorで書きおこしていたりします。また、ある日は某大学のマガジンの取材で午前中は文化人類学の教授にアフリカの失われし氏族社会について面白い話をうかがい、午後には化学の教授の研究室で重合反応のややこしい話を聞いていたりします。またの日には、神秘哲学の書籍に注釈を入れる作業に没頭していたかと思えば、翌日には、湘南のオシャレなお店を何軒も取材していたりします──足が悪いので杖をついて移動しながら :-)。さまざまな領域に首をつっこむことができるのは、とても刺激的なことではあります。音楽、美術、科学、文学、ミュージカル、神秘哲学、西洋哲学、経済学……どれもが面白い。「広くて薄っぺら」は楽しいのです。なお、グルメにだけは興味がありませんが(私にとって味覚とは郷愁でしかない)、レシピ本を作るのは大得意です(*)。────太田穣

*レシピ本制作については、庄司いずみベジタブル・クッキング・スタジオとの共同で、調理アシスタントの経験もあるライターさんや管理栄養士さんとのチームを組み、クォリティの高い書籍制作が可能です。



シリアスな小説を書いては新人賞に応募、そのたびに一次選考にすらカスりもせずに涙をこらえる日々が続いております。ここでは、そういうシリアスなものとは別に折に触れて書いてきた習作など、皆さんに楽しんでもらえそうな作品を、ほんの少しですがご紹介いたします。PDFとEPUB(Appleの「ブック」アプリなどで閲覧可能)の二つの形式をダウンロードできますので、お読みいただけましたら嬉しく思います。それにしてもいま読み返すと直したいところばかり。小説を書くというのは、やはり命をかけて取り組むべきものなのだなと、このごろひしひしと思うのです。僕はまだ未熟ですね。


ホラーやミステリーの作家になりたいわけではないのですが、ホラーやミステリーはどんな構造になっているんだろうと、勉強のために書いた短編です。自分でも面白いなと思えるものを掲載しました。テーマというか、執筆時に課した条件が、音楽、二人の人間、そしてオカルティックなことの3点を物語に盛り込むことでした。


『キキとココ』

『占星術師と男の客』

『午前3時の客』

『デュオ』

『ドッペルゲンガー』

『ウィジャ盤のゼレ』──某大手出版社児童局が「うちから出そう」と言ってくれましたが、会議では 「後味が悪いので、結末を書き換えてもらおう」との意見が通ったとのこと。でも、書き直す気にどうしてもなれず、結局、出版はならず。

『エミル心霊探偵事務所 第一話』──ティーン向けのラノベでも書くべと執筆したのがこの物語。講談社のラノベ新人賞に応募しましたが落選。読み返してみたら恥ずかしいくらいに下手くそです。あまりに情けないので、現在、ストーリー自身も作り直し、完全書き直し中です。書き直しが終わるまで、下の第二話を読んでいただけると嬉しいです。第二話もまだまだですが。ラノベは僕にとっては難しいです。焦点の当て方がわかりにくい……。

『エミル心霊探偵事務所 第二話』──でも書くのが楽しくて、第二話まで執筆。こちらのほうが、第一話よりこなれて面白いです。ですから、こちらのほうから先に読んでいただいて、その後に第一話を読んでいただけると嬉しいなと思ったりします。

いわゆる「純文学系」の小説はどれも書いても書いても永遠に未完のまま。書き直してばかり。でも、この短編は珍しく、これで完了。主人公は電子(エレクトロン)です。